川崎のヒステリックグラマー

会社からの帰り道、神明町からラゾーナ川崎を東改札口方面に向かって突っ切ると気がつく。

オレンジのネオンが点灯し60年代風の巨大な美女を照らしだす。男は萎え、女は起つ。ロック好きが着るティーシャツにプリントされたイメージとリアルタイムに成長してきたオッサンにとってはそこにいるだけで開放と自由が約束されたかのような気にさせられる。包み込まれる安心感は単なる勘違いと搾取の現実しかないのだろうが、一瞬でも菩薩に見間違えた者だけに死ぬまで幸せなのかもしれない。

巨乳美人の抱えたエレキからはなんらかの爆音が鳴り響き、受けた衝撃は永遠に直らない病気持ちにすぎないが、ヒスのプリントからは認めるしかない。

自由の女神は片思いの男のために弓矢をひいてはくれない、アマゾネス社会には男の夢話など必要ない。

神明町は古い家並、路地があみだくじみたいに入り組んでいる。街灯も少なく遊歩道と交差している。駐車場を囲むブロック壁の崩れた所から平屋の裏を抜けてみたり、昔遊んだかくれんぼのような気分で仕事帰りは癒やされている。

会社の事務所は安置所の上にあるためか、寂しさと悲しさの波動が絶えず打ち寄せてくる。一日中同情と慰みを求めて漂う雰囲気につきあわされる身になって貰いたいが、連鎖を断ち切らないと結果は宜しくない。